英語圏の交通事情を比較!

英語圏の交通事情を比較!

 

「英語圏」と一言で言っても、アメリカ、イギリス、オーストラリア…それぞれの国の様子は大きく異なります。

ラッキーなことにETAJには様々な国にお住まいの、または様々な国出身のネイティブスピーカーの知人がいる先生方がいますので、今回、英語圏(アメリカ、イギリス、オーストラリア)の交通事情を比較してみました。

 

※掲載順は国名の50音順としています。

 


 

profileMITSUI1)アメリカ合衆国 (情報提供者:ミツイ直子

 

アメリカで主となる交通手段は車です。道路の道幅は広いし、駐車場も広いので Head-in (日本のように後ろ向きに駐車スペースに入らず、頭から入ること)が基本です。日本で運転をしていた人にとっては、アメリカでの運転は「簡単だ」と感じることが多いようです。

 

アメリカの高速道路は基本的に無料ですが(そのためFreeway と呼ばれます)、中には Toll Road と呼ばれる有料の高速道路もあります。Toll Road はお金を払っている人だけが入れる専用道路で(後払いも可)、特に渋滞がひどい地域には「お金を払えば渋滞にはまらずに速く目的地に辿り着けるよ~」的に用意されています(もちろん場所によっては Toll Road でも混むことがあります)。運転手の他に同乗者がいる場合にはCarpool Lane(もしくはHOV Lane。High Occupancy Vehicleの略)を使用できます。ハイブリッド車や電気車を持っている場合は地区の行政に届け出ることで特別なStickerをもらうことが出来、そのStickerを車の後方右側に貼っている場合は同乗者がいなくてもCarpool Laneを使うことが出来ます。

 

車の運転は土地によって様子が異なるのですが(New York のManhattan やDowntown Los Angeles近郊は運転が荒いと有名です)、基本的に譲り合いの精神が強く、Stop サインで複数の車が同時に一時停止をすると「お先にどうぞ」と合図をしてくれる運転手がほとんどです。

 

アメリカは国内面積が広くて日常生活での車の走行距離も長いので、比較的長距離の運転が苦にならない人が多い印象を受けます。長期休暇には車でアメリカ中を周る人も少なくありませんし、リタイア後にはキャンピングカーを買って国内を移動しながら暮らす人も多いです。そうやって車で色々な場所を訪れる旅行を Road Trip と言います。

 

また、アメリカでは、日本でいう「新幹線で出張」という感覚で気軽に飛行機を利用します。比較的大きめの街には必ず飛行場があります。

 

逆に少ないのが Taxi の利用ですが、最近では気軽に Taxiを頼めるスマートフォンアプリが出てきて便利になったことで、以前より Taxi を使う人も増えているようです。また、Uber等の送迎サービスも人気です。数日以上の滞在を見込んでいる旅行客は、Taxi 等を使うよりも自由度の高いレンタカーを好む人が多いそうです。

 

電車やバスは、基本的に車を購入できない人が利用するため、駅や停留所周辺の治安が悪くなりがちです。もちろん大学キャンパス内や安全な地域を限定で走るバスもあり、そういうものは危険ではありません。電車に乗っても危ない地域で降りないようにすれば大丈夫だと言う人もいますので、慣れかもしれませんね。列車による長距離の旅は比較的安全なようで、列車ならではの楽しみを満喫する人も多いようです。

 

日本と異なるのがバイク利用。一部のバイク好きの人達は仲間と連れたってツーリングをしている姿を見ますが、通勤や通学にバイクを利用する人は少数。荷物を乗せられる車の方が便利なことと、事故に合う危険性が多いことからバイクはあまり人気がありません(アメリカではよく「知り合いにバイクは売るな」と言います。これは、自分が売ったバイクに乗った知人が事故死をしてしまったら、自分が責任を感じてしまうからです)。

 

街中でよくみる移動手段としては自転車やスケートボードがあげられます。ただ、これらは場所によっては危ないし、アメリカの移動距離は(ちょっとお買い物、でも)日本のそれとくらべものにならないほど長いので、大抵これらは「公園まで」「大学のキャンパス内でのみ」「小さい田舎町で」という感じで使われます。

 


 

麻子さん2)イギリス (情報提供者:上條麻子

 

蒸気機関車が発明された場所と言えばイギリス。それもあるのでしょう、イギリスは「鉄道王国」とも言われているほど鉄道の数が多い国です。

 

鉄道のネットワークはイギリスのほぼ全土を網羅しているので、国内を移動するには電車が便利です。乗車賃はやや高めですが、デザインはおしゃれで車内もきれい。発着時間もほぼ時間通りであり、信用のおける交通手段として多くの人が利用しています。

 

電車のほかによく利用されているのはバスです。市内を走るバスのほか、「コーチ」と呼ばれる高速バスがあります。コーチは通常のバスよりも座席が広めで、ゆったりと過ごせるようになっています。鉄道の料金と比べると大分安いので、近年の不況の影響もあり、遠くまで移動する際には、コーチを利用する人が増えています。

 

コーチ・ステーションには「パーク&ライド」の駐車場があり、バス停まで車で行って、停めることができます。イギリスは駐車場の料金が高いので、お金を節約したい利用者にとってはありがたい仕組みになっています。

 

飛行機に関しては、島国で小さいこともあり、国内線を利用する人はあまり多くなく、便も少なめです。

 

車に関しては、カーシェアリングという仕組みがあります。カーシェアリングとは、会員制のレンタカーのようなもの。通常のレンタカーとは違い、短時間単位での利用ができるので、自家用車を所有する費用を節約したい人にとっては、便利な仕組みです。

 

また、ユニークな車の相乗りの仕組みとして、「ブラブラカー(BlaBlaCar)」というサービスが近年になって登場しました。ブラブラカーとは、WEB上で行うヒッチハイクのようなもの。WEBであらかじめ行きたい場所と出発場所、時間を確認した上で、その条件に合うドライバーを探します。格安で目的地まで乗せてもらえるので、特に若い世代を中心に、利用する人が増えているようです。

 

イギリスでは近年の経済不況により多くの人がお金を節約するようになっていること、また、2015年に入って、環境負荷削減のため、ロンドン当局がカーシェアリングの利用者数を増やそうという取組みも始まっており、カーシェアリングやブラブラカーのような仕組みの利用はますます増えていくと思われます。

 


 

TheDots3)オーストラリア (情報提供者:The Dots Guiding -Australia-)

 

アメリカなどに次いで自動車普及率の高いオーストラリアでは、車が主な交通手段で使われます。特に、国土が大きく大都市以外の公共交通機関に限りのある地方地域では車は必要不可欠なのです。

 

都市部では車通勤による渋滞が問題となっており、その問題を軽減しようと様々な試みが行われています。

 

一般車道での混雑を避けるために、City(都心)へ繋ぐmotorwayなどの高速道路(Toll(料金)が発生する道路もあります)があります。それと同時に高速道路での混雑も激しく、車線の増設などといった工事も随時行われています。

 

また車道では、transit lane (T2, T3) と呼ばれる決められた数以上の人数が乗車している車だけが通れる専用のレーンが用意されていることもあります。T2の場合2人以上、T3の場合は3人以上が乗車しているということになります。またこのtransit laneは平日のみや決まった時間帯(通勤時)だけと限られてあることが多く、これ以外の時間は乗員が1人の車も通行が可能です。

 

他にも通勤時間を限定させないように、職業によって仕事開始時間が変わっていることもあります。例えば建設・土木関係の仕事の方々 (Blue collar workers)オフィス系の人達 (White collar workers)よりも早く始まり早く終わるようになっていたり、オフィスで働く方も、flexible working arrangementsで開始・就業時間を自分で決めることが可能な場合もありますね。

 

また近年車通勤から、バイクやスクーターを代わりに使う通勤車も増えてきています。渋滞にはまっても抜けやすい、そして都心では専用の無料駐車場が充実していることもバイク通勤車が増えていることも大きな要因でしょう。似たように、自転車での通勤も多いです。自転車専用レーンが設備されている道もあり、車以外の交通手段を使うように政府や自治体も促進しており、徐々にですが充実してきています。

 

大都市の、シドニー、メルボルン、ブリスベン等では、車以外にも他の交通手段が充実しています。電車はもちろん、バス、ライトレール、モノレール、フェリー、タクシー、レンタルの自転車などあります。フェリーはシドニーでは観光者だけでなく、通勤で利用する人がとても多いです。一方でメルボルンで有名なのは、モノレールでしょう。

 

また都市から都市への移動では、やはり飛行機になるでしょう。日本の20倍近くの面積を持つオーストラリアでは都市と都市の間の移動距離もあり、出張などではもちろん旅行でも飛行機はよく使われます。オーストラリアの会社であるJetstar, Tigerair, またVirginなどの格安航空会社が充実し、お値段もお手頃価格というのも一因かもしれません。

 

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