ノンネイティブ英語講師でも大丈夫!な発音の教え方:セッションメモ
清水 健雄
2018年5月12日にZoomにてミツイ直子先生による「発音の教え方」の勉強会がおこなわれました。以下、セッションメモとなります。
発音はネイティブが教えるべきかどうか?
- 人によって答えは様々なので、自分の答えに合わせた対策を取ればよいのでは
- 自分の発音に自信がない:ネイティブとタイアップする、あるいはネイティブの音源を用意して、自分が教えられることをする
- 自分のポリシーをしっかりと持つ、サポートする情報知識を持つこと
発音を教えるとき、ネイティブスピーカーと同じように話せることを目標とするべきか?
- 参加者それぞれで考えてみること
そもそも「ネイティブ」とは? アメリカ・イギリス英語? 最近はアジア人などのノンネイティブも多くなっている
- 日本人が「ネイティブ」と考えるのは、アメリカ・イギリス人となる
- 世界からみると、ネイティブスピーカーのようになるために発音を教えている先生はほぼいない、相手に理解してもらえることの方が大事である
- 生徒の意見・希望も尊重する
「発音がよい状態」とは?
- 明確に答えられる人はいない、「ネイティブみたい」というあいまいな答え
“Speech Accent Archive”(http://accent.gmu.edu)
- いろいろな国・地域の人がどんなアクセントでフレーズを話すのか聴くことができる
- いろいろな英語があるということがわかり、生徒に「どんな英語」を目指すのかというの一緒に考えることができる
ゴールを決めるときに、生徒に対する期待値が高すぎても低すぎてもいけない
- 生徒の個性に合わせたゴール設定が必要
発音を教えるときの基本事項
- 長期に渡って継続的に教える
- 繰り返しのサイクル:情報を与える → 練習 → フィードバック
- いろいろなテクニックを使って教える
発音とは
- 音とmusical aspectsがある
- 音について
- 子音・母音
- 音と文字が違う
- 特定の音が難しい:日本人として弱い音を重点的に教える(r/th/fなど)
- なぜ発音は難しいのか:口内筋肉(muscle memory)で新しい筋肉を使う必要があり、情報だけだったり、練習不足であったりしてはいけない
- 音を聴いて判断するのが難しい ⇒ 新しい音を認識する脳の部分に多くの情報を入れる
- モデリング:Sammy Diagramなど
- ミツイさんおススメサイト:Sound of Speech(http://soundsofspeech.uiowa.edu)
- 発音記号は教えるべき? ⇒ 生徒の年齢・学習スタイルを考慮して教えること。生徒の能力を制限しないようにすること。
- アクティビティ:簡単なもの ⇒ 複雑なもの
very controlled practice:先生の後に続いて練習する
guided practice:先生はガイド役、生徒が自分で実際にやる量が増える
communicative practice:本当の会話のように練習、教室外での状況のように
- musical aspectsとは
- 音節・イントネーション:いろいろな方法でアプローチが必要
- 音節:母音ごとのかたまり (catは1つ、re/spon/si/bi/li/tyは6つなど)
- 教えるときには、手拍子などを使う
- ストレスの表現方法:長く、大きく、ピッチを早く、母音をはっきり発音、ビジュアルではっきり発音する部分を大きな絵にする、など
- 新しい単語:一緒に音節を数える、ストレスパターンを一緒に確認、動きとストレスを一緒にして確認
- thought groupsとpause
- 「意味ある分のかたまり」ごとに分ける
- 生徒によって感覚で覚える/ルールが必要を分ける
- prominenceとintonation
- チャンクとして分けた時の最後の意味を持った単語(content word)
- 強く言うことで意味が変わったりする
- お手本の音源を聴いて印をつける
- up-and-down melody
- メロディーの決まり方はいろいろな要因があるので一概に言えない
- たくさんの例を聴いて覚える
- イントネーションの練習:”kazoo”を使ってみる、ハミングをする、キャラクターを設定して読む練習
- connected speech
- 予想できてしまうので、生徒と一緒に答えを考えてみる
- raise awareness:気づかせることで自己学習を促す
- dictation:文章を書かせる
- 音節・イントネーション:いろいろな方法でアプローチが必要
- 他の英語を教えるテクニックと合わせて教える
- shadowing、drama playing、story tellingやcreative projects(Voki、italki、conversation exchangeなど)
- 絵を見てそれを話す、ディクテーションを1~2行させる
- song、 chant、 tongue twister、poemなどを練習:発音だけに集中できる
- 複数形(s)、や過去形(ed)の発音確認も
- 省略されるフレーズ(could have、should have、would haveなど)もチェック
【感想・質問】
新田さん:発音に「ウルトラC」はないということがよく分かった。継続的な練習が必要。発音にビジュアルエイド(Sammy diagram)が発音に役立つということが新鮮であった。自分では使っていたが、生徒にも効果的であると思うので使いたいと思う。
イントネーションは、気にすればするほどネイティブと話すときに集中ができなくなってしまう。練習が必要なのはわかるが、どこまで練習すれば、発音やイントネーションを気にせずに相手の話を聞けるようになるのか?
ミツイさん:人それぞれで性格によるのではないか。脳にかかる負担にもよるかもしれない(体調など含む)。生徒には、最初は脳にかかる負担を少なくして、段々と多くしていく。
ーーーーー
Chiakiさん:海外に長い人が、固まってしまった個々の発音をどう直していくのか?
ミツイさん:Fossilization(化石化)してしまった人は、自己流になっているのでそれ以上伸びない。特定の箇所で同じことをしているのなら、自分で間違いを判断できる知識を伝える必要が出てくる。明らかに練習不足であれば、とにかく練習をしてもらう。
ーーーーー
前川さん:教え始める時期はいつなのか?
ミツイさん:生徒に聞いてみるとよい。あとは、発音に注目をする・しないをアクティビティで決める。(常に発音を意識する必要はない)
前川さん:発音と他の技能との相関性は?ある程度教えると、お互い満足してしまい継続指導が難しい。少しの時間であっても、継続的にやることで他の技能にもよい影響があるのか?
清水:リスニングは、「聴けないことは話せない」。自分の音を脳が認識するか、認識して初めて聞けるようになる。聴いて真似して発音できて「初めて聴けるようになる。」継続的にすることに意味がある。