清水 健雄 先生にインタビュー
名古屋Chapter のChapter Leaderを務めてくださっている、初心者専門の清水先生に、清水先生が日本の大学とアメリカの大学で経験した「先生同士の付き合いの違い」についてお話をお聞きしました。
生徒との繋がりを大事にしながら、共感しながら、色々な提案を。
清水先生はもともとアメリカの大学で教育学を学び、卒業後に帰国をされてから更に日本の大学で教育学を学ばれたそうですが、その理由は何ですか?
アメリカで取得した単位だけでは日本の教員免許が取得できないので、他に必要な単位だけ聴講生として日本の大学に通いました。日本とアメリカ、両方の大学に通うというなかなかできない経験が出来たことは良かったです。
日本の先生とアメリカの先生の意識の違いなどに関してお話をお聞かせください。
私はアメリカと日本の両方で教育実習を受ける機会がありました。その経験を通して感じた違いがあります。日本は「実習生全員で教育実習を成功させる」こと。それに対し、アメリカでは「個々で担当教員と一緒に教育実習をこなしていく」ことが目的とされていました。
まず日本での教育実習ですが、印象としては全体での会議が多いということでしょうか。私が行った学校では、他の大学からも来ていまして私も含めて6名で実習に臨みました。ほぼ毎日、朝のミーティングから始まり、教科が一緒であれば一緒に行動する。担当した教室は違いましたので、ホームルームなどは別々でしたが、帰りのミーティングも一緒。時には、個々の問題を全員で解決するためのミーティングもありました。「全員で一丸となってやる」という印象がとにかく強かったです。
それに対して、アメリカでは個々に学校へ赴き、担当教員と一緒に実習をするというスタイルでした。日本のように他の大学から同じ時期に実習へ来ているということはなく、その学校に実習生はたった一人という印象を持ちました。ですので、相談は全て担当教員と行い、日本のように毎日ミーティングはなく、何かあればそのたびに話し合いを持つ、というスタイルでした。
日本では、実習生がお互いに励まし合いながらカリキュラムを消化していく。
アメリカでは、担当教員のアドバイスを受けながら自分なりにカリキュラムを終えていく。どちらも教員として成長するには不可欠な要素を含んでいると思います。
日本のスタイルですと、「(実習生として)教育を受ける」側の結束が固くなります。悩みは同じ場合が多く、その悩みに対して共感を得やすいし、一緒に考えるので解決も早いです。アメリカのスタイルは、担当教員との関係がとても強くなるので、かつて通った道という点で共感してくれます。またそれを乗り越えてきた先輩の意見を聞けるという最大の利点があるわけです。
日本の良さとアメリカの良さを、どう「今の清水先生の教え方」に活かしていますか?
日本の「結束を固める」という良さを活かし、生徒に「同じ立場の者(英語学習者)」として共感することを大事にしています。私も講師という立場に驕らず常に英語を勉強しているからです。
そして、アメリカの良さは「個人同士の関係性の強さ」だと思います。担当教員との強い繋がりを持て、そして先輩として私の立場に共感をいただき、意見をシェアしてもらったように、生徒との繋がりを大事にしながら、そして共感しながら、色々な提案をするように心掛けています。
他の英語の先生方にアドバイス出来ることはありますか?
皆さんそれぞれ他の先生とは違う経験をされていると思います。学習者にはそういった経験を語ることが大事であると思います。特に、失敗した経験は共感を得やすいと思います。共感を得ることで、私たち英語講師も今英語を勉強している学習者と同じように苦労しながら学んだということを分かってもらえるからです。私たちも、みんなと同じ道を通ってきたことを分かってもらうことが大切だと思います。「英語が出来る」というのは、何かの才能ではなく、失敗と努力を積み重ねた結果である、ということを感じてもらうように、色々な経験を話してあげるようにしてはどうでしょうか。
清水健雄(名古屋Chapter、Chapter Leader)
高校卒業後、米国オレゴン州ポートランドへ大学留学。教育学(中・高英語科)を専攻。5年間の留学を経て帰国後、日本の大学で必要単位を取得し教員免許状を取得。同県私立高校にて2年間英語科専任教諭を務める。その後、海外出向要員として企業に採用され、約5年間米国テネシー州にある現地工場へコーディネーターとして赴任。海外赴任後は、海外関係部署を回り留学・海外赴任で培った英語力を大いに発揮してきた。英会話を始めたいがその方法が分からない、という相談にアドバイスしているうちに、自分の今までの経験が大いに発揮できることを感じ、「英会話ファーストステップ」を立ち上げる。
健雄先生は留学経験だけでなく、日本での教員としての経験、そして米国駐在員として米国にてお仕事をされていた経験もお持ちで、まさに会話の引き出しが多い先生です。両国の文化も学生という立場、そして社会人という立場で経験されていますので、常に英語圏の文化を高い視点から見られています。文化に対するその繊細な視点は、机上で英語圏の文化を学ぶ機会の多い先生方のお手本になるのではないかと思います。