TOEIC勉強会:報告レポート
ミツイ直子
2017年3月26日にZoomにてETAJ会員による「TOEIC」勉強会がおこなわれました。
幾年にも渡り、日本の企業や予備校、そして大学でTOEIC対策の授業を教えている中井翔先生をMain Speakerとしてお迎えし、TOEIC:Listening & Reading Sectionのキーポイントについてご紹介頂きました。
「生徒が確実にTOEICの点数アップを図れるように、でも同時に、基礎的な英語力を高めるということもおろそかにしないように」ーーそういう想いを大事にしながら、中井先生がPart 1~Part 7までのそれぞれの箇所の英文の特徴なんかをご紹介くださいました。例えば、Part 1の写真描写の箇所では、(1)人にフォーカスした文と(2)物にフォーカスした文というように、二つの種類の英文が使われることが多く、またそれぞれのタイプの文にも使われがちな単語やフレーズというものがあるそうです。ただ、そういった単語やフレーズを教えるだけで終わりとしては、それこそ「付け焼き刃」的な対応でしかなく、いくらTOEICで点数アップを図ることが出来ても「TOEICで点数は取れても、実際の英語力が伴っていない」という状況になってしまいます。
中井先生の授業の工夫は、そういったTOEICならではの英文を「とび道具」として生徒に渡し、生徒のTOEICや英文に対する苦手意識を極力低くすることに努めながら、そのうえで英語力を向上すべく日々のレッスンをされているというところにありました。頻出英文タイプを普段から生徒の脳にインプットすることで、そういった英文が実際に試験に出てきたときには脳には負荷がそれほどかからず、内容に関する重要箇所によりフォーカスできるわけです。
現在、中井先生が受け持っている生徒さん達はTOEIC 400点~500点を目指しているということもあり、そういった生徒さん達に具体的にどんな指導が出来るのかのお話も聞けたのですが、今回参加してくださったETAJ会員の中にはTOEIC 800点以上の英語力を持ち満点を目指している方もいらっしゃったので、そういう方たちが出来るTOEIC対策についてのお話もお聞きできました。
中井先生、そして他のTOEIC高得点を取っている先生方によると大事なのは「イメージ化」。英文を英語のアルファベットとして処理していくのではなく、私たちが母国語である日本語を運用するときと同じように「イメージ」として処理していくことが出来ると「リテンションがどうの」という問題も発生しません。確かに細かい日時や場所といった情報については注意を払う必要がありますが、それは母国語でTOEICのような試験を受けるときにも言えることだと思います。中井先生は、この「イメージ化」が出来ていない場合の問題は「語彙力不足」もしくは「状況把握力不足」が原因だとお話されていました。(英文をイメージ化して理解していくことの大切さは、ETAJ 代表理事のミツイ先生もこちらの動画でご紹介しています。)
参加してくださった方からは以下のようなご感想を頂きました。
「すごく役立ちました。ありがとうございました。今までの私の認識では「TOEIC対策」って、姑息な手段で僅かな点を稼ぐことでした。違いますよね。特に、今日教えてもらったPart7の教え方は良いと思いました。TOEICの点が低いのが問題なのではなくて、「英語力の低さがTOEICの点に顕れている」わけですから。読んで理解して考える力を、TOEICの問題を題材に考える。
私の塾に来はじめた人がほかで習っている「TOEIC対策」って、きいてみるとほんとうの対策じゃない。私の印象は「トライアスロン競技のコーチが早着替えのコツを教えてる」。それじゃタイムは2-3秒しか改善されない。ちゃんとrunやswimの練習をさせないといけないですよね。」(鈴木裕先生)
「中井先生にTOEICのPartごとのパターンや傾向をお聞きできたことでTOEIC対策を教える際に、生徒さんにあらかじめ「武器」を渡し、苦手意識を小さくして自信をつけ、楽しみながらTOEICを学ぶことを伝えられそうです。
自分が何となくできてしまったことは、意識的に構造化したり、パターン化する必要がないためできない人に伝えるのが下手になりがちです。専門家である中井先生のお話をうかがえて、TOEICの全体が以前よりもきちんととらえられるようになりました。」(小平純生先生)
「私は英語の試験には成功体験がない分とても苦手意識が強いです。今までの試験はスコアばかり気になってしまい、肝心の「英語」に目を向けていなかったのかもしれません。でも、一つ問題を解く時にイメージして、臨場感を味わい問題を解いていくトレーニングをすればTOEICだけでなく他の試験もスコアが取れるような気がしてきました。また、新しい気づきができました。
今日は本当にありがとうございました。いつか英語を教える立場になれるように、自分なりに英語に向き合っていきたいと思います。」(田口幸子さん)
当日、中井先生がお話されていた各パートの英文の特徴に関してはWeb会員特設ページにてご覧頂けます。
参加者の皆さま、今回は本当にありがとうございました。
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