【発音練習】授業で楽しくおこなえるアクティビティ案
ミツイ直子
生徒に発音練習をさせる時、繰り返し練習をしてもらうことは欠かせません。Cause & Effectが理解できる年齢の生徒なら「この目標達成のためには、この練習が必要だ」と理解して(練習自体に興味がなくても)練習に取り組んでくれるものですが、そういった「Why」の部分が見えない(もしくは理解し難い)年齢の生徒相手には、授業の工夫が必要となってきます。
今回は生徒に「練習」と思わせずに、でも自然と練習に取り組んでもらえるようなアクティビティ案をご紹介したいと思います。
私が、低年齢層の生徒に英語を教えていた時は「一日に50回~100回は、Target sound/word(s)を発音練習してもらう」ことを目標としていました。この回数は米国言語療法士の提案に沿ったものです。英語学習者は英語に適した口内筋肉を鍛える必要があり、それは言語療育を必要とする英語ネイティブが置かれている状況と類似していると判断したことからの方針です。
そのことを踏まえ、以下のアクティビティをおこなっていました。
案1:
Target sound/word(s)を①立って言う、②座って言う、③手を叩きながら言う、④ジャンプをしながら言う、⑤片足立ちをしながら言う等の、適当な動きをさせながら練習させる。
案2:
Carrier phrase(s)を使いながらTarget word(s)を言わせる。(Carrier phrase(s)というのは、I like…、I have…、I see…等)
案3:
微細運動(Fine motor)タスクをさせながらTarget word(s)を言わせる。 (微細運動というのは、文字を書いたり、絵を描いたり、ハサミで紙を切ったりさせるような手先を使ったアクティビティのこと)
案4:
①ジャンピンクジャック、②スキップ、③片足ジャンプ、④反復横跳び、⑤スクワット、⑥Bear walk(四つん這いで動くこと)等の軽い運動をさせながらTarget word(s)を言わせる。
案5:
Target word(s)を「Head, Shoulders, Knees-n-Toes, Knees-n-Toes」の曲に合わせて言う。慣れてきたらスピードを変えたりして飽きさせないようにする。
案6:
Target sound(s)を含む写真を何枚も使ってコラージュを作らせる。雑誌や新聞からの切り抜きや、インターネットからダウンロードして印刷した写真は、予め先生が用意しておくこと。写真を選ぶ時には、Target sound(s)のWord positionも気に掛けること(Word initial?Word final?等)。出来上がったコラージュに貼られた写真に写っている(Target sound(s)を含む)物の名前)を10回ずつ言わせる。自分のコラージュを他の人に紹介させるのも良い。
案7:
伊達メガネやサングラスをかけさせて、I see…のCarrier phraseを使いながらTarget sound/word(s)を10回ずつ言わせる。
案8:
Target sound(s)を含む名称の物をバッグに入れて、生徒に一つずつ取り出させ、取り出した物の名称をI have…もしくはI got…のCarrier phraseを使いながら言わせる(car for /k/ sound, sponge for /sp/ sound等)。 バッグが空になるまで繰り返し、最後に全ての物をバッグにしまっていく際には5回ずつ物の名称を言わせる。
案9:
フラッシュカードを作り、日中を通して何度も練習をさせる。
案10:
Target sound(s)を含む、家庭内にある物の名称をあげ、リストを作らせる。Target sound(s)のWord positionも気に掛けること。
案11:
フラッシュカードを2つずつ作り、トランプの神経衰弱のようにして遊ばせる。カードをひっくり返すごとに、引いたカードが示すTarget sound/word(s)を3回発音しなくてはいけない。
案12:
2つのサイコロを投げ、サイコロの示す合計数の分だけ、引いたフラッシュカードが示すTarget sound/word(s)を発音する。
単に「発音練習をさせる」にしても、いつもと異なる状況で行わせるだけで、その練習に対する意識が変わるのが面白いところでもあります。例えば案12を実践するにしても、通常通りの教室環境で行うのではなく、教室の電気を消して生徒に懐中電灯を使わせながら行うだけで「特別感」と「新鮮味」が出ます。
反復練習の際に気を付けたいのは「マンネリ化(左脳の飽き)」と「習慣化(ただ単に行っている状態で、そこに意識や意図がない)」。これら二つが揃ってしまうと、表面上はどんなに回数をこなせていても、その学習効果は少なくなってしまいます。常にワクワク感を感じながらアクティビティに向き合ってもらうためにも、ちょっとした工夫で「特別感」と「新鮮味」が出せるということを覚えておきましょう。
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