すがゆうこ先生にインタビュー

すがゆうこ先生にインタビュー

 

すがゆうこ先生はドイツ人のご主人と様々な国に滞在後、子育ての場としてドイツを選ばれました。今ではドイツにて児童に英語を教えられています。今回はそんなゆうこ先生にお話をお聞きしました。


「子供たちの『Yes, I can!』を大切に、できた、わかった、通じた、その喜びを感じるようなレッスンを心がけています。」

 

  

 

ゆうこさんのドイツへの移住のタイミングやきっかけを教えてください。

 

フロリダのディズニーワールドで仕事をしていた時に主人と出会い、その後スペインのカナリア諸島、日本、オーストラリアで一緒に生活する中で、新しい発見と素晴らしい経験を得ました。

カナリア諸島のランサローテという島には、スペイン語が話せる主人の仕事の関係で移住しました。当時ランサローテには日本人がひとりも住んでいなく、私は海と自然に囲まれてのんびりとスペイン語の勉強に専念。英語圏以外の国に住んだのは初めてでしたが、明るく陽気なスペイン人たちが拙い私のスペイン語にも温かく対応してくれて、スペイン語を学習するモチベーションも上がり、太陽が燦々と輝く中、趣味のベリーダンスを習ったりしながら、充実したライフスタイルを送ることができました。

それと同時に、主人に私のバックグラウンドを知ってもらいたいという気持ちが大きくなり、その後は日本に1年滞在しました。この1年間は今でも私たちの絆を深めたと思える、とても有意義な時間でした。異文化を知るには、本などで読んで得た知識だけでなく、実際に体験することが大切です。日本を肌で感じ、異なる習慣を目の当たりにすることで、国、国民性、文化を理解することができますからね。そして主人もまったく言葉の通じない国、日本で生活するという、今までとは違った海外生活を体験をし、学び得たことが多かったと常に話しています。

 

そして私たちはオーストラリアへと旅立ちました。アメリカ以来、英語圏での生活です。お互い言葉の通じない国に住んだ経験後の英語圏での暮らし、仕事もすぐに見つかり快適でした。ただビザの期限が1年しかなく、その後ドイツに行くか、日本に行くかの選択に迫られました。

ドイツに移住を決めたのは、多言語が集まるヨーロッパ、陸続きで9か国と隣接するドイツ。今まで暮らしてきた国とはまた違った味わいがありそうだという好奇心とともに、子供を産み、育てるには、緑に囲まれたドイツでゆったりと子育てすることに魅力を感じたからです。

 

ドイツに渡って衝撃的だったことはありますか?

 

英語がまったく通じなかったことです。ヨーロッパの国ですし、少しは通じるものだと思っていたのですが甘かったですね。最近では外国人も多くなり、歩いていても英語を耳にするようになってきましたが、まだそのような機会は少ないです。

 

ドイツ語の難しさが半端ではなく、想像以上にドイツ語習得には苦労しました。

日本とドイツの教育の違いにも驚かされました。ドイツの教育は本当に自由です。日本で生まれ育った私には最初、あまりにも放任主義すぎると感じ、理解するのに時間がかかりました。しかし時間をかけて深く知っていくと、『自由=自ら考えて行動しなければならない』なんだと気付きました。親から、先生から、常に指示してもらうことが当たり前になっている日本の子供たち、突然『今から自由に活動していいですよ。』と言われても戸惑う子が殆どではないでしょうか。日本では電車に乗ったら、『ドアが閉まります、ご注意ください。』、バスに乗ったら『右に曲がります、吊革におつかまりください。』、とアナウンスが流れるのが当たり前。気づかないうちに目から耳から得た情報により、自ら注意をする必要性すらなくなっているのです。ドイツでは、停留所などは自分で確認しなければいけませんし、ドアも降りる際にボタンを押して意思表示しないと停まってくれません。線路には踏み切りがないので、自分で安全確認が必要です。毎日の習慣の積み重ね、『考える力』を奪っているのは私たち大人なのかもしれないと思いました。

上からの指示にどれだけ的確に答えられるかという時代はもう終わり、自ら考え、自分をしっかりと持ち、自己を表現することで『生きる力』を養っていく。この重要性を強く感じています。出る杭は打たれ続けてきた日本の教育、みんなと同じでないことに違和感を覚え、不安になる社会。そうではなく、それぞれが持つ『個』を大切にし、個性を伸ばしていってあげる、個々を認め、受け入れ、支えあう、そんな社会が必要な時が来ているのではないでしょうか。

 

英語を教えようと思ったきっかけについて教えてください。

 

グローバル社会で活躍していく上で欠かせない言語といえば英語。英語ができるから『頭がいい!』『賢い!』決してそうではありません。英語を話す人は、他の人よりも多く反復練習を繰り返してきただけなんです。私は、自己表現をするツールのひとつに英語は属すると思っています。これからの社会を生き抜くために必要なツールなのです。

英語を使い、世界中の人々とコミュニケーションを取ることにより、異なる文化を知り、違いを理解し受け入れる柔軟性も身につきます。さまざまなバックグラウンドを意識することにより、自分の国に誇りを持ち、母国語の大切さ、文化の素晴らしさに気づけるのです。

 

異文化が交わることが、他の国に比べて少ない環境で育ってきた私たち。陸続きの国々では、文化や言語が交わることは日常茶飯事です。だからこそ、相手の慣習や思想を尊重しながら、自分たちのアイデンティティを大事していくことができるのでしょう。

国境を越え視野を広げ、子供たちの可能性を高めていくには、単に英語を習得すればいいのではなく、その英語というツールを使い、異文化を理解する力、コミュニケーションができる力を伸ばしてあげること。交わる文化の中で活躍するには、自己をしっかりと持ち、主張できるタフさ、対応できるフレキシブルさも重要になってきます。

 

知識としての英語だけではなく、実際に使えるフレーズを感覚的に覚えることも大切です。そして外国人とコミュニケーションすることの楽しさ、英語が通じた時の喜びや達成感などを知ってほしい、異なる価値観や考えを受け入れる幅広いマインド、探求心や好奇心を育てていきたいという気持ちが、英語を日本の子供たちに教えたいと思うきっかけになりました。

 

今はどのように英語を教えていますか?

 

これほど多くの国で話されている言葉、英語。その背景には、英語のシンプルさが存在します。そう、これだけたくさんの国の人が話せる言葉、英語は決して難しくないのです。

 

どうしても文法から入ってしまう日本人。主語、述語、名詞、形容詞がこれで…と考えると、わざわざシンプルな言語を難しくしているように感じます。お馴染みの「This is an apple.」。これを私たちはまず、「Thisが主語でこれは、isが述語でです、appleが名詞でりんご、りんごがひとつだからanが付きます。」と習います。でもこれだと、なかなか会話をするレベルには到達しません。

日本語でママが赤ちゃんに言葉を教える時はどうでしょう。まずりんごを前に置いて、を指さして「これはりんごだよ。」って何度も繰り返しませんか?それと同じ!りんごを見せて、「This is an apple.」を繰り返すんです。体で感じ取るまで。実際の体験を通して、覚えた言葉は身になります。教科書で覚えた言葉は使わないと忘れてしまうでしょう。

 

歌やダンスなどを通して英語に触れることで楽しく、英語が特別な存在でなくなることを一番に考えています。『外国語は難しい』という壁を作らないように、工作や色塗りなど子供の興味のあるものを使い、色や数、簡単なフレーズを気づかないうちに覚えていきます。フラッシュカードで単語を覚えるだけでは話すことはできませんので、実際に使えるシチュエーションに合わせたフレーズを覚えることから始めています。

基本1文字に1拍で発音する日本語での生活をしている子供たち、どうしても発音がカタカナ英語になりがちです。英語の音に慣れるようにフォニックスを使ったり、リトミックと同じように体で英語のリズムを感覚的に習得できる工夫をしています。

ピアノやテニスと同じで、英語は日々の反復練習です。頭で考えてしまうと逆に話せなくなってしまいます。歌やジェスチャーに合わせて英語のフレーズを何度も口にすることにより、動作と一緒に自然とフレーズが出てくるようになります。そして子供たちの『Yes, I can!』を大切に、できた、わかった、通じた、その喜びを感じるようなレッスンを心がけています。

 

これから進んでいきたい方向性についてお聞きしてもよろしいですか?

 

ドイツの教育と比較するためにも日本の幼児教育事情を知りたいと思い、現在、日本の保育士国家試験を受けているところです。両国の教育を知ることで、どちらもの長所を取り入れることが可能になります。いずれは英語圏で大学に通ってみたいですね。

そして、ドイツ在住の日本人の子供たちが、日本の文化を紹介しながら外国人と交流できるようなイベントを企画予定です。将来的には、子供たちがよりわかりやすく、楽しく英語に触れ、習得できるような幼児英語の教材やワークブックなども作成したいと考えています。

 

他の英語の先生方にメッセージを頂けますか?

日本の英語教育は文法中心です。中学、高校合わせて6年間も英語を学んでいるにも関わらず、簡単な言葉のキャッチボールをすることすらできません。

完璧さを求めるのではなく、間違うことを恐れずに、大人も子供も英語でのコミュニケーションの楽しさを伝えていってほしいと思います。特に子供たちにはできるという自信を持たせ、自己肯定感を高めることが大事。幼児期に英語を通して培った向上心は何を学ぶ際にも、前向きに取り組む姿勢につながります。これからの国際社会で必要な人材は今までのような受け身の優等生ではありません。自ら考え行動できる、芯の強い人間です。将来子供たちが大きな翼を広げて伸び伸びと羽ばたけるよう、一緒にサポートしていきましょう。

 


すが ゆうこ

大学時代アメリカ・テキサスでの交換留学を機に、オーストラリア・シドニー、ニュージーランド・クライストチャーチ、イギリス・ロンドン、アメリカ・フロリダのディズニーワールドキャストメンバー、オーストラリア・ゴールドコーストにて留学カウンセラー、不動産事務スタッフとして働き、2004年ドイツに移住。ドイツ・デュッセルドルフにて日本語補習校幼稚部で講師として5年間勤務したのち、日本人駐在ママとキッズを対象とした親子サークル☆ぴよぴよリトミックを立ち上げる。その後、幼稚園児の英会話教室ぴよぴよイングリッシュを開始、現在UK・イギリス駐在準備ママ英語にも力を入れている。

 

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